保証債務がある場合


連帯保証人とは(保証契約についての基本)

連帯保証契約の押印

借金をする際には、貸し主(債権者)と借り主(債務者)との間で、お金の貸し借りについての契約が成立します。この契約のことを金銭消費貸借契約(きんせんしょうひたいしゃくけいやく)といいます。

また、この借金についての連帯保証人を付ける場合、貸し主(債権者)と連帯保証人との間で、債務の保証についての契約を結びます。この契約のことを保証契約(ほしょうけいやく)といいます。

 

ここで注意すべきは、保証契約とは債権者と保証人との間で締結される契約であり、債権者と債務者との間で締結される金銭消費貸借契約とは別の契約であるということです。

そのため、「金銭消費貸借契約」と「保証契約」は、それぞれが個別に相続の対象となります。この点をふまえて考えると、相続放棄と連帯保証人の関係がわかりやすくなります。

なお、保証人になるというときには、多くの場合で連帯保証契約となっていますから、以下は連帯保証人と書きます。

相続放棄と連帯保証人の関係

被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合と、相続人が被相続人の連帯保証人になっていた場合とにわけて解説します。

被相続人が第三者の連帯保証人になっていた場合

被相続人が第三者(被相続人、相続人以外の人)の連帯保証人になっていた場合、相続人に引き継がれるのは、保証契約に基づく連帯保証人としての義務です。

相続人が相続放棄の手続きをすれば、被相続人が負っていた義務を引き継ぐことは無くなりますから、連帯保証人としての借金の支払い義務からも逃れることができます。

ただし、当然のことではありますが、連帯保証人としての責任についてだけ相続放棄をすることはできません。相続放棄をすれば、被相続人に属していた権利義務のすべてを引き継がないこととなります。

 

なお、被相続人が誰かの保証人になっていても、それをご家族に知らせていないこともあります。この場合、相続開始から長い期間が経過した後になって、債権者から督促が来たことで保証債務の存在が発覚することもあります。

このようなときには、保証債務の存在を知ってから3ヶ月以内であれば相続放棄ができることも多いでしょう。ただし、すでに相続財産の処分行為をおこなってしまっている場合などには、判断がわかれるところです。

 

債務が全くないと誤信していたために、「相続の開始があったことを知ってから3ヶ月」を経過しても相続放棄の手続きをとらなかった場合には、その誤信をするについて相当の理由があると認められる場合にのみ、例外的に、債務の存在を知った時(例:債権者からの督促状が届いた日)から3ヶ月以内に手続きをすれば、家庭裁判所で相続放棄が受理されることとなります。

 

ただし、この場合、家庭裁判所が相続放棄の申述を 受理しても、債権者が「当該相続放棄の申述は、期間経過後になされた無効なものである」として争ってくる可能性は否定できません。

「たとえ家庭裁判所で放棄の申述が受理されていても、放棄の有効性は最終的には訴訟で決まりますので、債権者からの訴訟提起により、内容によっては放棄が無効とされる可能性もある」ということを頭に入れておく必要があります。

相続人が被相続人の連帯保証人になっていた場合

相続が開始することにより、被相続人が負っていた、金銭消費貸借契約に基づく債務者としての義務が、相続人に引き継がれます。相続人は、相続放棄手続きをすることによって、この債務者としての義務を引き継がないものとすることは可能です。

 

ところが、相続人が被相続人の連帯保証人になっていた場合、上記の相続債務とは別に、保証契約に基づく連帯保証人としての義務があります。この連帯保証人としての義務は、相続によって引き継いだわけでは無く、相続人自身がそもそも負担していたものです。したがって、相続放棄をしても、連帯保証人としての義務には何の影響も無いのは当然です。

よって、連帯保証人である相続人が債務の支払いをすることができない場合には、その相続人自身が債務整理(自己破産や個人再生など)をすることになります。


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