相続トラブルを防止する


相続 トラブル 悩む

相続対策の3つの柱となるのが「相続税の対策」「納税資金の対策」「相続トラブル対策」で、どれも重要ですが、その中でも特に重要なのが争族対策だと思われます。いくら事前に相続税対策を行って、財産をたくさん残しても、財産を巡って争いとなってしまっては、相続人のことを想う気持ちがとんでもない結果を招いてしまいます。 

 

相続が起きたときの一番悲しい出来事は、残された相続人である、妻や子供たちの間で争いが起きることではないでしょうか。「相続」が思わぬ展開で「争族」になってしまうケースを、あなたも見聞きしたことがあると思います。相続は介護問題と複雑に絡み合っています。おれが最後まで面倒見たんだ…とか、お前は家賃も払わずに一緒に済んでいて得をしたんだ…とか、さらには生前にお父さんがこう言っていた…とかいう話が出て、子供のときは仲がよかった兄弟なのに、相続発生前から話がこじれて、絶縁関係になってしまうという悲劇はよくあります。 

 

「相続はお金持ちだけの問題」という誤った認識があります。

その認識が一般家庭の相続準備を怠らせ、問題を複雑にしています。

最高裁判所の「司法統計(平成25年度)」によれば、遺産分割訴訟の遺産の価額別割合は以下のようになっています。

 

1,000万円以下   32.3%

5,000万円以下   42.7%

1億円以下      12.0%

5億円以下      6.2% 

5億円を超える    0.5%  

 

 

紛争件数の実に75%が、5,000万円以下の遺産分割です。子供達に争いの種を残すことのないように、充分に時間のある早い段階で、相続財産・相続人・分割方法などをじっくり検討し、自分の考えをきちんと子供たちに伝えおくことは、親としての責務といえるかも知れません。

争族(遺産争い)が起こってしまうと、元の兄弟姉妹関係、親子関係に戻ることはありません。親の命日に集まることもなく、親の墓参りに来る子すらいなくなることも少なくありません。そんな悲しい思いは絶対に、させたくないものです。

また遺産争いをしていると、相続人が不幸になるばかりでなく、相続税法の最大の特典である小規模宅地の評価減と配偶者の税額軽減も使えなくなり、相続税も高くなってしまいます。

 

争族対策としては、

① やはり遺言(書)の活用が最も効果がありますが、

② あわせて分割用財産を確保しておくなどの対策をしておくことにより、遺産分割も容易になります。 

③ 分割できる財産がない時は、生命保険を活用し、生命保険金を分割財産にあてることも可能です。 

遺言の効用

遺言は、遺言者が生涯をかけて築き守ってきた大切な財産を、遺言者が亡くなった後も最も有意義に活用してもらうために行われます。

遺言をする意味・効用は多くありますが、遺された相続人があなたの遺産をめぐって争うリスクが小さくなるという点が真っ先にあげられます。

 

遺言がなければ、遺言者の相続人が、だれと誰が相続人なのか、どのような遺産があるか、遺産の形成に特別の寄与をした者や遺言者の生前に特別利益を受けた者の相続分をどうみるか、遺言者の遺産をどうやって切り分けるかなど、すべてを調べ、話し合って決めなければなりません。かつては仲が良かった相続人たちが、遺言者の遺産分割のために争うことになってしまうのはとても不幸なことです。一見円滑に遺産分割が成立する場合でも、争いを避けるために意見を言わず、不満や不信をためこんでしまうことが少なくありません。

 

そんなとき、亡くなる方が、だれにどのように遺産を分けるのか、遺言で明確にしてあげていれば、相続人が争ったり相互不信に陥ったりすることを極力避けることができるでしょう。

 

民法は、相続人間の公平を図るため、法定相続分をもとに、特別の寄与をしてくれた相続人には寄与分が増額され、生前に特別の利益を与えた相続人からはその受益分を差し引くという制度を用意しています。しかしながら、法定相続分と異なる割合で相続することは、遺された相続人だけの話し合いではなかなか解決できないものです。

 

そこで、遺言によって、法定相続分よりも多くの、または少ない、相続割合を定めたり、遺産分割方法を指定したりすることによって、その家庭ごとの具体的事情に応じた対応ができます。ただ財産の内容やそれをどのように分割できるかや、遺留分への配慮などについては、事前にご理解した上でないと逆効果になりかねません。

円満相続の準備

相続におけるトラブルが発生する原因は、以下のようなケースが考えられます。

  • 相続財産の大半が不動産で、各相続人への分割可能な財産がない
  • 相続税が思った以上に発生してしまい、手元のお金が不足してしまう
  • 相続財産全体像がつかめない(財産目録が無い場合や、あっても不正確な場合)
  • 被相続人が特定の相続人に多額の贈与をしていた
  • 相続人に、後妻、養子、非嫡出子などがいる
  • 相続人以外の人が遺産分割協議に口出しする

現時点では想像もつかないトラブルが、相続では発生してしまうのが実態です。

もちろん、相続人の方々のみに原因があるわけというわけではなく、ご自身にも考えも及ばなかったことが発生する可能性があります。

さらに、関係する方々が認知症になることにより、財産管理・処分の意思能力がなくなった場合、上記のような問題は、ますます複雑さを増します。

相続争いのデメリット

  • 遺産分割協議書が作成できていない為、故人の預貯金がおろせない。財産の有効利用がしにくい
  • 相続税の控除や特例が使えない配偶者の税額軽減小規模宅地の評価減ため納付税額が増える
  • 相続税のため不動産の売却、建替えや修繕ができない、立て替えていた費用の清算ができない
  • 精神的に消耗し、結果的に、相続人同士の関係修復ができなくなる
  • 家庭裁判所における調停による長期化、弁護士に依頼する費用の発生
相続 話し合い

相続人同士の仲が険悪になり、相続の話し合いがまとまらないと、結果として全員が損をすることになります。相続税の申告期限までに財産の分割が決まらなくても、税務署は納税を待ってくれることはありません。申告期限(相続の開始の翌日から10ヶ月以内)までに、未分割財産を法定相続分で分割したと仮定して、相続税を支払うことになるため、分割が確定した場合に比べて、多額の納税資金が必要となることが予想されます。

 

相続人同士で、遺産をどのように分割するかがまとまらないと、遺産分割協議書が作成できません。これがないと、故人の預貯金を銀行から引き出すこともできませんし、土地や建物の名義を変更することもできません。

 

また、所得税の計算においても、相続により取得した土地、建物、株式などを、譲渡した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるという特例も、相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに、その資産を売却できないと適用できなくなります。

このように、相続でもめてしまうことで困る事は、控除や特例が適用できない点にあります。結果として、相続税の納税額が増えることとなります。 


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