民法の相続に関する法律の大幅な改正が検討されていることをご存じでしょうか?相続に関する法律の大幅な改正は、昭和55年に配偶者の法定相続分が3分の1だったのを2分の1にして以来大きな見直しはなく35年以上が経過しています。その間、社会の情勢は大きく変化しており、特に高齢化が進行しています。こういう状況を踏まえて、法務省の法制審議会は平成28年6月21日に民法の改正案がある程度まとめられた中間試案を発表しました。この中間試案のうち、「配偶者の法定相続分を引き上げる」という部分に対してされた意見公募(パブリックコメント)では、反対意見が多数となる結果になりました。今回の中間試案では、相続人が配偶者と子どもの場合では配偶者の割合を3分の2にする(現行では2分の1)というものでした。配偶者の法定相続分を上げようとした理由は、高齢化で婚姻期間が長くなり、配偶者の貢献割合が以前よりも大きくなっていると考えたためです。しかし、パブリックコメントでは、「配偶者だけが財産の増加に貢献するわけではない」「夫婦関係が壊れていても取り分が増えるのは不公平」などの反対意見が多数みられたため、配偶者の相続分を増やす方向での改正は行われる見込みがあまりないと考えられます。
相続に関する法律の改正については、引き続き法制審議会において検討される予定なので、今後も注視していきたいところです。