不動産の名義変更(相続登記)


3世代の家族

相続登記とは、相続財産である土地や建物の名義を、被相続人(亡くなった方)から相続人へ名義の変更を行なうことをいいます。

 

遺産分割協議により、民法で定められた法定相続分とは異なる相続分の不動産を相続したときは、相続登記をしていなければ第三者に所有権を主張することができません。よって遺産分割協議により不動産を相続する場合には、相続登記をかならず行なうことが必要となります。

 

なお、相続による不動産の所有権移転登記(相続登記)には、いつまでとの期限はありません。しかし、相続登記を済ませておかないと、売却やその他の処分をすることができません。また、相続登記を先延ばしにしているうちに、相続人の間でも新たな相続が発生してしまい、手続きが困難になってしまうこともあります。そのため、相続登記に期限はなくとも、お早めに手続きをしておくことをお勧めします。

 

登記をしないデメリット

上記のとおり、相続登記にはいつまでにしなければならないとの期限はありません。もっと正確にいえば、不動産の所有者が変わったとしても、その登記をすることは法律上の義務ではないのです。したがって、不動産を相続した場合に限らず、購入したり、贈与を受けた際であっても、名義変更(所有権移転登記)をするかどうかは所有者ご本人の自由です。

 

それではなぜ登記をするかといえば、「その不動産を自らが所有していることを、第三者に対して主張できるようにするため」であるのが最大の理由です。とくに売買などによる不動産取引では、不動産の二重譲渡を防ぐためにも、すぐに名義変更(所有権移転登記)をおこなうのが必須です。

 

不動産を購入したが登記をしないでいるうちに、別の人が同じ不動産を買い受けて(二重譲渡)、所有権移転登記をしてしまった場合、先に登記した人(購入したのは後)が所有権を手に入れてしまう恐れもあります。

 

相続登記の場合

不動産の所有権を相続により得た場合には、現在の登記簿上の所有者は被相続人(故人)なのですから、別の人に二重譲渡されてしまうことは考えられません。したがって、相続登記をしないでいるうちに、いつの間にか第三者の手に渡ってしまう危険性は低いですし、すぐに名義変更をしなくても不都合を感じることは無いかもしれません。

 

そのため、不動産の名義が、何十年も前に亡くなった被相続人名義のままになっているというケースも決して珍しくありません。けれども、不動産を売却するときや、家屋の建て替えに伴って住宅ローンを組む際には、その前に相続登記を済ませておく必要があります。被相続人名義のままでは、不動産を処分することはできないからです。

 

そこで必要に迫られて、いざ相続登記をしようと思っても、相続が開始してから長い年月が経ってしまっていると、手続きが大変になってしまっていることもあります。たとえば、相続登記をしない間に長い年月が経ってしまえば、その間に新たに相続が発生するかもしれません(数次相続の発生)。そうなれば、相続人の数が増えたことで遺産分割協議が困難になることもあります。

 

また、相続が発生してから長期間が経つと、相続登記に必要な書類(除籍謄本、住民票の除票など)が役所の保存期間の関係上、取得できなくなることもあります。そうなると、手続に大変な手間と費用がかかることにもなりかねません(住民票の除票、除籍・改製原戸籍の附票は、保存期間がたったの5年です。その後は、廃棄されてしまい取得できなくなります)。

 

したがって、不動産登記の専門家である司法書士としては「相続登記には期限はありませんが、早めに済ませておきましょう」と強くお勧めしております。

 

ちなみに、最近ご自身で登記される方もいらっしゃるようですが、所有者を相続人の名義に変更する登記に加えて、抵当権や買戻し特約など、同時に消しておくべき登記をそのままにしているとか、前面道路の持分がついていたのに本体の土地建物のみについて申請していた、など後々余分な費用や問題が発生する登記をしてしまっているケースも散見されますので、よくよくご注意いただきたいと思います。

 

相続登記の種類

相続登記手続きは、大きく次の3つに分類されます。

 

(1)遺言による相続登記

(2)遺産分割による相続登記

(3)法定相続による相続登記

手続きの流れ

登記に必要な書類の収集

登記に必要な書類は、相続登記の種類によって、用意する書類が異なってきます。

 

(1)遺言による相続登記をする場合

  • 遺言書(自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所での検認手続きが必要です。)
  • 被相続人の死亡時の戸籍謄本(出生までさかのぼる必要はありません。)
  • 被相続人が登記された時点から、死亡された時の住所までのつながりのつく住所証明書(戸籍の附票もしくは住民票の除票)
  • 遺言に不動産を相続させると書かれた相続人の戸籍謄本
  • 遺言に不動産を相続させると書かれた相続人の住民票
  • 不動産の固定資産評価証明書

(2)遺産分割協議による相続登記をする場合

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人が登記された時点から、死亡された時の住所までのつながりのつく住所証明書(戸籍の附票もしくは住民票の除票)
  • 法定相続人の戸籍謄本
  • 遺産分割協議の結果、登記名義人となる相続人の住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書
  • 法定相続人の印鑑証明書
  • 遺産分割協議書

(3)法定相続による相続登記をする場合

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人が登記された時点から、死亡された時の住所までのつながりのつく住所証明書(戸籍の附票もしくは住民票の除票)
  • 法定相続人の戸籍謄本
  • 法定相続人の住民票
  • 不動産の固定資産税評価証明書

必要書類の詳細について

1.被相続人(亡くなった方)に関するもの

 

遺言による場合を除いて、相続登記をするには、「死亡の旨の記載のある戸籍謄本」などだけでなく、被相続人が生まれたとき(または、少なくとも満13歳頃)から、死亡に至るまでの除籍謄本、改正原戸籍などの全てが必要です。これは、被相続人の子ども全員の存在を明らかにするためです。

さらに、被相続人に子供(または、その代襲相続人)がいない場合、被相続人の両親についての出生にさかのぼる戸籍謄本などさらに多くのものが必要となります。相続人がご自分ですべての戸籍謄本などを集めるのは大変手間がかかりますから、司法書士がご依頼者の代わりにお取りするのが通常です。

被相続人の登記された時点から最終までの住所すべてが記載されている住民票の除票(または、戸籍の附票)が必要になります。住民票の除票については本籍地の記載を省略しないでください。除票(除籍)になってからの役所での保存期間は5年ですので、発行されない場合は上申書等で対応することになります。

 

2.相続人(配偶者、子、父母、兄弟姉妹など)に関するもの

 

遺言による場合を除いて、相続により不動産をを取得される方だけでなく、全ての法定相続人の戸籍謄本が必要です。戸籍謄本の発行日は相続の開始後で無ければなりません。

住民票については本籍地の記載を省略しないでください。登記名義人となる法定相続人についての住民票が必要です。

遺産分割協議を行う場合(法定相続分どおりに登記する場合を除く)相続人の全員について、遺産分割協議書に押した印鑑の印鑑証明書が必要です。

 

3.相続する不動産(土地・建物)に関するもの

 

相続登記では、法務局へ登記済権利証(登記識別情報通知書)を提出する必要はありません。けれども、登記をする不動産を確認するためにも、できる限り登記済権利証をお持ちいただいております。

登記費用の見積もりをするためには、不動産の固定資産評価額が分かる書類が必要です。

固定資産評価証明書は、不動産所在地の市町村役場で取得できます。登記申請と同一年度のものが必要です。受付の際には、本人確認書類の他に、相続人からの請求の場合には戸籍謄本などの提示を求められます。

なお、固定資産税についての納税通知書(評価額が記載されているものに限ります)がお手元にあれば、固定資産評価証明書が無くてもお見積もりは可能です。

 

4.その他

 

遺産分割協議書は司法書士が作成したものに、相続人全員の署名押印をいただくのが通常です。

 

申請書の作成及び申請

オンライン 申請

登記申請書を作成する場合は、案件によって様々に変化します。

相続登記の申請は、その不動産所在地を管轄する法務局で申請をおこないます。相続人がご自分で法務局へ出向いて登記をおこなうことも不可能ではありませんが、専門的な知識が求められる手続なので、相続登記は不動産登記の専門家である司法書士に依頼するのが通常です。

提出した書類に不備がなければ1週間程で登記が完了し、不動産の名義が変更されたことになります。

尚、当事務所では、相続登記をインターネットを利用したオンライン申請によって行っております。そのため、全国どこにある不動産の相続登記でもご依頼いただけますし、遠方の不動産だからといって追加料金がかかることもありません。

 

登記の費用について

登記を申請する際には税金(登録免許税)の納付が必要になり、通常は収入印紙を印紙台紙に貼付して提出します。

その際必要になる税金(登録免許税)は基本的には、固定資産税評価証明に記載されている不動産の価格に1000分の4を乗じた価格となります。

不動産によっては、登記簿の面積と、固定資産評価証明書上の面積が相違している場合もあります。このような場合は安易に固定資産税評価額1000分の4を乗じた額では、金額が足りなかったり、多すぎたりということもありますので注意が必要です。


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