さて、相続の手続きを進めて行こうと考えたときに、大抵は遺産分割協議を行うことが多いです。そのために相続人を確定させていき、いざ「遺産分割協議をしよう!」となった時、相続人の一人が認知症を患っていて自分の考えを伝えられない状態であることが分りました。こんな時は注意が必要です。
実はこのままでは遺産分割協議をすることができません。認知症の相続人が文句を言えないのを幸いとして、他の相続人が認知症の相続人に不利な遺産分割協議にしてしまう恐れがあるからです。では、どうしたらよいのでしょうか?
そのような時に『成年後見制度』を利用することになります。
『成年後見制度』とは、認知症、知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分な方々を、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で保護したり支援したりする制度です。
判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、契約を結んだり、遺産分割協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをすることができません。また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあう恐れもあります。このような判断能力の不十分な方々の代わりに財産を管理したり、契約を結んだり、不利益な契約を取り消したりする人(法定代理人)を付けることができる制度です。