不動産は相続財産の価値の大半を占めるケースが多いので、必然的に相続税の額にも大きく関係してきます。
ここでは、相続不動産の基本的な評価方法をご案内します。
土地は、宅地、農地、山林、原野などの地目のべつに評価することになっております。
土地の評価額は、俗に「一物四価」と言われ下図の通り、「実勢価格」、「公示地価」、「路線価」、「固定資産税評価額」が存在します。
相続税、贈与税の計算上は、「路線価による評価額」及び「固定資産税評価額」を使った「倍率方式」による評価額を用います。
種 別 |
金 額 (実勢価格を1とした場合の評価割合) |
内 容 |
実勢価格
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100% | 実際の売買取引時に成立する市場価格 |
公示価格 | 90% |
国土交通省が発表するその年の1月1日時点における全国の標準地の価格。土地取引の指標となります。 |
路線価 | 70%-80% |
国税庁が発表するその年の1月1日時点における価格。相続税、贈与税計算の際の評価額に用いられます。 |
固定資産税評価額 | 60%-70% |
市区町村が算定する3年毎の1月1日時点における価格。固定資産税、不動産取得税等の算定に利用されます。 |
所有する土地が面した道路にわりふられている、その土地の1㎡当たりの価格(路線価)に、地積を乗じて土地の評価額を算出します。
例えば、200㎡の自宅敷地の前面道路の路線価が30万円(路線価表では千円単位で300と記載されています。)であった場合の評価額は、30万円×200㎡=6千万円 となります。ただし、路線価は整形地で間口が充分に取れている等の優良な土地を想定しています。
従って、実際の土地の評価に当たっては路線価による評価額を基礎とし、各々の地形、接道状況、用途地域、周辺環境、利用状況等を補正計算して行う必要があります。
路線価図は国税庁のHPに公表されていますので、ご自宅の路線価がいくらなのか一度確認してみられるよよいでしょう。
路線価がわりふられていない地域においては、「固定資産税評価額」にその地域ごとの倍率を乗じて土地の評価額を算定します。
「固定資産税評価額」は毎年市区町村より送られてくる「固定資産税の課税明細書」に記載されていますが、評価倍率表は、路線価図同様国税庁のHPに公表されています。
建物の評価方法は、「固定資産税評価額」によります。
従って、毎年市区町村より送られてくる「固定資産税の課税明細書」がそのまま相続税の評価額になるとお考えください。
マンションの評価方法は、上記「土地の評価方法」及び「建物の評価方法」により算出された評価額に持分割合を乗じて計算します。
売買契約書や登記簿謄本に持分割合が記載されています。
税理士なら誰でもが、当然に不動産評価を出来るというわけではありません。医師に専門分野があるように、税理士にも専門分野があります。
なかには、相続税申告に不慣れな税理士もいるので、その土地評価が適正ではないことがありえます。
10人の税理士に頼むと、10通りの相続税評価額・納税額になるといわれるゆえんです。
相続税の申告で最も専門性を要する、この相続税評価額の計算については、専門家の力を借りることが賢明と言えるでしょう。
そのため、相続税に明るい税理士や、相続不動産の評価に実績を持つ不動産鑑定士を選択すること、または当事務所のように、そのような隣接士業と連携して、業務を取り扱っている事務所に依頼されることをお勧めします。