相続した不動産の売却


不動産の売却金の計算

相続により取得した不動産について、必ずといってもよいほどご相談いただくのが、土地・建物を売却したいというものです。

不動産を相続した場合、売却するためには、もともとの所有者(被相続人)の名義だったものを、相続人の名義に変更する必要があります。これが相続登記です。不動産を相続することになったなら、なるべく早い時期に相続登記を行うようにしましょう。

 

誰も住んでいない相続財産である不動産を放置しておくと、

固定資産税は払い続けなければならない。

②不動産のいたみが早く、価値が下がってしまう。

などのデメリットが考えられます。

 

売却する際には、相続人の調査・確定、遺産分割のアドバイス、不動産の調査(境界確定、価格の算定)などを専門家の立場でご相談させていただきます。

相続手続きは、財産関係と相続人の関係を総合して考えないと、後に相続人の方々に税金面や、マイナスの財産が残っていた場合などで不利に運ぶこともあるので、専門家にご相談することをおすすめします。

 

単純に不動産を売却することだけをみてみても、いったんは相続人の名義に移転するうえで、だれの名義にしたほうがよいのかという点で迷われると思います。

 

専門的な言葉でいうと

  1. 代償分割・・・特定の相続人名義で相続登記をして、他の相続人へは金銭を支払うといった遺産分割方法
  2. 換価分割・・・相続人全員名義で相続登記をしてから売却し、代金を法定相続分で各相続人が受け取る方法

が、ありますが、相続税がかかるような場合、一般的には換価分割が税法上有利とされています。

その理由としては、下記の相続税額の取得費加算が相続人全員で利用できるという点にあります。代償分割後に売却した場合には、取得した者が負担した税額分しか相続税額の取得費加算の適用を受けることができません。

 

換価分割における注意点

いったん相続人全員が法定相続分で共同で相続登記してから、売却した代金を、各相続人の法定相続分で按分するわけですが、相続税の課税は売却代金ではなく、相続が発生した時の相続税評価額に対して評価されます。

 

また、売却代金を法定相続分とは異なる割合で分配すると、贈与税の課税の問題が生じますので、相続登記の各相続人の持分を分配割合に沿ったものにしておかなければなりません。

 

換価分割の場合は、各相続人が相続財産を一度相続したうえで、売却したものと解されますので、相続税のほか譲渡所得税が課税されます。ただ、先述したように相続税額を取得費として譲渡所得税の計算から控除することができます。

なお、マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例がありますが、相続不動産を売却し、売却代金にて遺産分割する際にもこの特例が利用できる場合があります。

相続不動産の売却を検討している方はお気軽にご相談ください。

 

いつ売ればよいか?(小規模宅地の特例を確実に使うために)

小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の保有していた自宅土地の評価を大幅に減額してくれる特例ですが、この特例が使える宅地は、自宅や事業や貸付用などに使われていた土地です。

このなかでも、多くの方に関係してくるのは自宅の土地ですね。

ただし、この特例の適用を受けるためにも一定の要件を満たしていることが必要となります。

 

ポイントは、「その土地を相続したのかのが誰なのか」という点ですが、亡くなった人の自宅の土地については、以下の3種類に分けられます。

 

①被相続人の配偶者が相続した場合

この場合は、無条件で特例が適用できます。

 

②被相続人の同居の親族(配偶者以外)が相続した場合

相続税の申告期限(相続開始日の翌日から10か月以内)まで、この土地の所有と居住を継続したときに場合のみ、特例を適用できます。相続税の申告期限までは売却してしまうと特例が使えないことに注意してください。

 

③被相続人の配偶者や同居親族以外の親族が相続した場合

亡くなった人に配偶者も同居の親族もいない場合で、相続開始日の直前3年以内にマイホームに住んだことがない別居の親族がこの土地を相続した場合は、相続税の申告期限まで所有を継続すれば、特例が適用できます。賃貸や寮住まいをしている子が親の自宅土地を相続したような場合です。この場合も相続税の申告期限までは売却してしまうと特例が使えないことに注意してください。

 

相続税の申告期限までに亡くなった人の自宅土地を売却すると、減額率が減って相続税の負担が増える可能性がありますので注意を要するところです。

 

相続税の取得費加算特例

相続により取得した土地、建物、株式などを一定期間内に譲渡(売却)した場合には、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

相続した不動産を売却した場合、売却代金から取得費や譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得として課税対象になり、所得税や住民税等の税金がかかります。

 

具体的には下記のような算式で売却損益(譲渡所得といいます)を算出します。

 

譲渡所得の金額(売却益の金額) = 売れた金額 -(取得価額+譲渡費用)

 

不動産に対する相続税を500万円納税していた場合、一定の期限日までに相続不動産を売却することにより、不動産譲渡益500万円までは取得価額に加算することができるので非課税となるということです。

ちなみに、相続税申告期限から3年間はこの特例が適用でき、確定申告することで非課税枠が適用できるのです。

 

「相続税」を現金で納税済みであったり、延納により納税している場合でも、使えます。

 


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